身体が不自由でも

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身体が不自由でも…〜遺言OK!



身体が不自由でも
「遺言」ができる人は、民法によって法規制がなされています。《満15歳に達している者》と、《「遺言」する能力を有する者》でなければ、「遺言書」を作成することができません。

《「遺言」する能力》とは、『判断能力』のことです。したがって、認知症/知的障害/精神障害などのため、〈『判断能力』が不十分である〉‥と認められる人が作成した「遺言書」に、法律上の効力はありません。

では、〈身体に不自由がある〉ことは、《「遺言」する能力》に影響があるのでしょうか‥。『目がみえない人/口がきけない人/耳が聞こえない人』…は、「遺言書」を作成することができるのでしょうか?

痴呆などの《精神の障害》が、『判断能力』に関わることは理解できます。しかし、《身体の障害》と『判断能力』には、あまり関連性がない…むしろ、〈身体に不自由がある人の方が判断能力は高い〉‥とさえ、思ってしまいます。(筆者の偏見です!)

「自筆証書遺言」は、「遺言者」が…(「遺言」するゾ〜)‥という意思をもって、「公証人」の面前で、「遺言」の趣旨を自書(筆談)します。したがって、《書字能力》があれば、『口がきけない人/耳が聞こえない人』でも「遺言」ができます。

『目がみえない人』の場合、文字が十分書けるようになってから…(後天的に)…失明したのであれば、「自筆証書遺言」の作成が可能です。先天的な盲目の人は、「公正証書遺言」が良いでしょう。

『目がみえない人』は、「公正証書遺言」をすることができます。「公正証書遺言」では、「遺言者」が「公証人」に「遺言」の趣旨を口頭で伝え(口授)、「公証人」が「遺言者」に「遺言」の内容について読み聞かせ(または閲覧)を行います。

以前は、この《「遺言者」の口授》や《「公証人」の読み聞かせ》という行為との関係上…『口がきけない人』や『耳が聞こえない人』は、「公正証書遺言」をすることができませんでした。

平成12年の4月に、民法の改正があり…《「遺言者」の口授》の代わりに『通訳(または自書)』が、《「公証人」の読み聞かせ》の代わりに『通訳』をすることが、認められることになりました。通訳人の『通訳』を通じて、「公証人」に「遺言」の趣旨が伝わり、「遺言者」は自ら『申述(申立て)』した内容の確認ができれば良いわけです。

民法(公正証書遺言の方式の特則) 第九百六十九条の二  口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2  前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3  公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。


これによって、『口がきけない人』や『耳が聞こえない人』でも、筆談や手話を利用して「公正証書遺言」ができるようになりました。

「秘密証書遺言」では、「遺言者」が「公証人」などに…封書に封入した「遺言書」が自己のものであること/氏名/住所‥を『申述』します。そして、《「遺言者」の『申述』》に代わり『通訳(または自書)』が認められています。

民法(秘密証書遺言の方式の特則) 第九百七十二条  口がきけない者が秘密証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、その証書は自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を通訳人の通訳により申述し、又は封紙に自書して、第九百七十条第一項第三号の申述に代えなければならない。
2  前項の場合において、遺言者が通訳人の通訳により申述したときは、公証人は、その旨を封紙に記載しなければならない。
3  第一項の場合において、遺言者が封紙に自書したときは、公証人は、その旨を封紙に記載して、第九百七十条第一項第四号に規定する申述の記載に代えなければならない。


したがって、『口がきけない人』でも「遺言」ができます。『目がみえない
人』と『耳が聞こえない人』は、もちろん、「秘密証書遺言」の作成が可能です。

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